頼もしい父子の話
先日乗ったモノレールでの出来事。車内は混雑していて、私は立ったまま乗車していました。すると、小学校に入って間もないような少年が、私に向かって声をかけてきました。小さな声で聞き取れなかったものの、自分の席を譲ろうとしているのは分かりました。「大丈夫だよ。ありがとう」と最初は遠慮したのですが、ささやくようなか細い声にもかかわらず、強い意志をもって「どうぞ、どうぞ」と勧めてくれるので、最後はその厚意に甘えることにしました。
「ありがとうね」とお礼を言って座ると、少年は私ではなく、少し離れて立っていたお父さんに目配せをしました。お父さんが頷くのを見て、私も軽く会釈をしました。普段から「私のような白髪頭の人には席を譲りなさい」と教わっているのでしょう。相当恥ずかしそうにしていたので、勇気がいったと思います。それでも実行に移した少年は立派でした。「まだこんな子どもやお父さんがいるんだなぁ」と思わず笑みがこぼれました。
近頃はかつての子育てと勝手が違います。子どもの躾にもいろいろと配慮が必要になりました。子どもが「嫌がる、恥ずかしがる」ことなら無理強いもできません。厳しい大人は敬遠されます。その結果、「子どもから嫌われることを恐れる」大人が増えている気がします。
とはいえ、子どもは子ども。いかに時代が変わろうとも、「しかと教えるべきこと」は教えなければなりません。孔子曰く、「若者は、家では親孝行し、外に出ては年長者を敬い、慎み深く行動し、誠実であれ」と。屋宜塾生たちにもそう諭し、年長者から愛でられる青年になって欲しいと思っています。
頼もしい父子のおかげで、久しぶりに「初心にかえった」気持ちになりました。

