第18回  「やめてしまえ」という禁句

    「やめてしまえ」という禁句

 

 「最近の子供はキレやすい」とよく言われますが、実は先日、我々親の世代も同じような傾向が見られるという記事を読みました。親世代には耳の痛い話ですが、他人事で片づけてはいけないように思います。

 

 親子喧嘩で思わず、「やめてしまえ」「勝手にしろ」などと言ったことはありませんか。そのお気持ちはよくわかりますが、受験において「やめてしまえ」「勝手にしろ」は、親の‟ 敗北宣言になってしまいます。

 

 子供の将来には、成績不振、無気力、受験の失敗、浪人生活、就職、枚挙にいとまがないほどの苦難が待ち受けています。これらの苦難にどうやって立ち向かわせるか。それを今教えなければ、今後そのチャンスを失いかねません。

 

 子供が反抗するのも、思い通りに動かないのも、それはごく普通のことです。だからこそ、親の方が先にキレてはいけません。我慢、忍耐、辛抱です。常々、そのことを申し上げてきましたが、本当にこれが一番大切なのです。

 

 では、親が我慢強くなるために何が必要なのでしょう。私は信念を持つことだと思います。「受験をするならば、今何より勉強することが大切である」という、決して揺るがない信念を持っていれば、子供が反抗しようが、失敗しようが、動じることはありません。大声で怒鳴り、手をあげることもあるかもしれませんが、最後に「やめてしまえ」「勝手にしろ」で終わってしまわないことです。これでは、子供の思う壺になってしまいます。

 

 「勝手は許さん」、親に信念があれば言える台詞です。

 

 私の父(大正15年生まれ)は本当に厳しい人でした。それはやたらに怒鳴ったり、叩いたからではありません。とにかく、父は日頃から厳格で、私が反抗しても、最後には「言う通りにしなさい」で終わってしまいます。交渉の余地もありません。一度、ひどく反抗した時、父は「私はお前に恨まれてもよい。そんなことを恐れて子供を教育できるか!」と言い放ちました。私は父の迫力に敗けました。思い返せば、あの時の父は正しかったのです。

 

 父は叱るだけではなく、アドバイスもよくしてくれました。そうやって助けられたことはたびたびあります。私は父を尊敬しています。決して憎んでなどいません。

 

 私は「親の我慢と信念」があれば、子供は立派に育ってくれると思っています。

 決して子供に敗けないで下さい。