第100回 「地理」を好きになるには

「地理」を好きになるには

 

社会といえば、「歴史好き」は結構いるのですが、「地理好き」はあまり見かけません。特に沖縄の子どもたちは、気軽に他県へ行くこともないせいか、関心が低いように思います。かく言う私も、小学校の頃、地理が面白かった記憶がありません。都道府県名や県庁所在地名、山や川の名称、どれもが無味乾燥したものに思えて、記憶すること自体が苦痛でした。

 ところが、こんな私も今では「地理」の授業を受け持っています。もちろん今は「地理好き」です。私が地理好きになったきっかけは、高校時代に地理を担当されたS先生にあります。先生の授業を受けて初めて「地理が面白い」と感じました。何が面白かったのかというと、「地理」を単なる暗記科目にとどめず、「地理学」として教えてもらえたことにあったように思います。先生の授業は、「なぜそこに都市が生まれたのか?」「なぜその名称になったのか?」「なぜその名産品は生まれたのか?」、この「なぜ?」が学習の根幹になっていました。そこに私は惹きつけられたように思います。

 当時、『なぜそこに「まち」はできたのか』をテーマにした授業がありました。生徒自身が「まち」ができる過程を考察するスタイルです。次の要素を視点に日本地図を見ながら考えます。

 ①地形が住居、農地、商業のいずれに適しているのか

②交通手段としての近くに川や海が存在するのか

③農業用水や生活用水を確保できる川、湖、池が近くにあるのか

④山、川、海などの自然の防衛システムが成立するのか

 このように1つの「まち」の成立過程を考えていると、まるで自分が都市開発を担う事業者の気分になったものです。そんな気分で講義に参加しているので、山、川、海などの名称が自然と頭に入ってきました。

 私もS先生をお手本に「地理好き」の育成に日々勤しんでおります。授業では生徒に「そこに行ってみたい」という気持ちにさせられるよう研究しています。テレビの旅番組が人気であるように、潜在的な「地理好き」はたくさんいるのではないでしょうか。興味を惹かれる材料ならば、テレビやYouTubeにたくさんあります。お子さんと一緒に探してみてください。

 ちなみに私はテレビの「秘密のケンミンSHOW極」を勧めています。この番組で紹介される「ご当地の名物料理」はそこに行って食べたい気持ちにさせられますからね。

 

※今月号で記念の100回となりました。これまで飽きずにご覧いただきありがとうございます。次号からは2か月おきの更新とさせていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。