第94回 「東京さんぽ2023(東京国立博物館「古代メキシコ展」)」

「東京さんぽ2023(東京国立博物館「古代メキシコ展」)」

 

私は昔から古代文明に関心があり、小学生の頃は考古学者に憧れていました。だから今でも死ぬまでに一番見たいものは「エジプトのピラミッドとスフィンクス」で、一番好きなオペラはヴェルディの「アイーダ」です。

 今回訪れた「古代メキシコ展」では、メキシコの古代文明を代表する「テオティワカン文明、マヤ文明、アステカ文明」の出土品が展示されていました。「球技をする土偶、鳥形土器、太陽暦を表す石彫、嵐の神の壁画など」、私も初めて見るものばかりでした。最近はレーザー技術の進歩によって、直接発掘調査をしなくても、ジャングルの中から新しい遺跡の在り処がわかるそうです。凄い時代になりました。

 ところで、私がメキシコの古代文明に初めて触れたのは小学5年生の頃でした。当時、メキシコにもピラミッドがあることを知り、とても意外だった記憶があります。ピラミッドといえばエジプトが有名ですが、メキシコのピラミッドはその造りも目的も大きく異なります。エジプトは王墓として、メキシコは宗教的儀式を行う祭壇として造られています。メキシコのピラミッドでは「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」が有名ですが、ご存知の方もいらっしゃることでしょう。

 メキシコの文明は、紀元前15世紀から紀元後16世紀のスペイン侵攻まで、およそ3千年以上にわたって栄えたとされます。これほどまでに発展した文明がどうしてスペインに征服されたのか、ずっと疑問に思ってきました。今回の展示会では、その答えの一端を知ることもできました。

 15世紀のメキシコでは、アステカ帝国が広大な地域を支配し、周辺の都市国家の先住民族に過重な税を課して服従させていました。しかしながら、それらの都市国家の多くがスペイン侵攻に乗じてアステカ帝国に反抗し、スペインと結託したそうです。これが大きな要因となって、アステカ帝国は1521年にスペインに滅ぼされましたが、コロンブスの新大陸発見からわずか30年後のことでした。

 最後にメキシコ文明を題材にしたお勧めの映画を紹介しておきます。「アポカリプト」(2006年/メル・ギブソン監督)という作品で、マヤ文明が舞台となった作品です。時代考証にやや問題があるのですが、エンタメアクション映画としては非常に良くできています。ただし、生贄を捧げる残酷なシーンもありますので、小学生の視聴には向かないかもしれません。

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