第50回  お母さんたちからの質問(その3)  「そろばんは受験に有利ですか?」は

お母さんたちからの質問(その3)

「そろばんは受験に有利ですか?」

Q『そろばんは受験に有利ですか?』

 

先日、「うちの子はそろばんをやっているので、計算は速いです。算数は自信があります。」というお母さんがいらっしゃいました。そろばんができれば、算数もできると考えられる方は少なくありません。

そろばんの普及率全国一位は沖縄だそうです。そろばんは、計算力はもちろん、集中力を養うことにも効果があるとのこと。海外でもその効果を認め、授業に導入しているというニュースを見たことがあります。そろばんを習うこと自体は良いことだと思いますし、受験でも一定の効果は期待できると思います。

ただし、受験算数において、そろばんが有利に働くのは、その一部に過ぎません。計算問題に限定しても、そろばんで扱う計算とは全く異なるものが殆どです。そろばんにあるような、「5ケタの数字を10個以上並べた足し算とか、3ケタ×3ケタの掛け算」といったものは、入試問題で出題されることはありません。

百聞は一見にしかず、実際の入試問題を見てみましょう。

 

問題1

$$\frac{6729}{13458}+\frac{4268}{17072}-\frac{1024}{1536}+\frac{408}{1020}$$を計算しなさい。

(H31開邦中算数独自問題)

 

問題2

$$8÷{((□)-\frac{1}{3})×4+\frac{2}{3}}=\frac{1}{2}$$  □にあてはまる数を求めなさい。

(H31球陽中算数独自問題)

 

どうですか。そろばんで解けそうですか。

まず、これらの問題を解くには、受験算数特有の計算方法や技術を習得しなければなりません。また、制限時間は1分、長くとも2分以内となります。そろばんも高い段位となれば相当な技術と訓練が必要であるように、受験算数もそれ相応の技術と訓練が必要です。

その上、一般的に算数の試験で計算問題の比重は、100点満点中の20点程度、残りの80点は図形や文章問題になりますので、計算だけで合格できる学校はありません。

そろばんは計算力を養うには十分有効な手段ですが、受験で有利になるほどの効果は期待しないことです。ピアノやダンスなどの習い事と同様、やりたいから、楽しいからということで、そろばんも続けられたら良いかと思います。