第49回  お母さんたちからの質問(その2)

お母さんたちからの質問(その2)

「中学受験の準備は何年生から始めるものですか?」

 

Q『中学受験の準備は何年生から始めるものですか?』

 

 中学入試の範囲は小4から始まります。小6ともなれば当然、小4の範囲くらい解けるだろうと考える方が多いでしょうが、実際はそうではありません。小4算数の「およその数」、「推理する問題」、「樹形図」、「規則性」などは、入試でも出題率が高く、よく難問が出題されます。小6であっても解けない生徒が多い単元です。

 では、なぜこんなことが起こるのか。中学から初めて習う英語を例に考えてみると分かり易いと思います。例えば、「中1英語の文法は出来ないが、中3英語の文法は出来る」、こんな生徒がいるでしょうか。お目にかかったことがありません。中1英語をすっ飛ばして受験英語をマスターできないように、中学入試も小4の基礎があってはじめて、入試問題が解けるようになるのです。

 そのため、屋宜塾では小4から小6までの3年計画でカリキュラムを考え、それを授業で実践しています。どの学年であろうと、学校の教科書と同じような進度や解き方で教える訳ではありません。たとえ小4であろうと、いずれ小6の受験で必要となる解き方を指導します。すべてが入試を念頭においた授業内容であり、学校の教科書を補足するようなものではありません。

 すると、小5や小6からでは遅いのか、という疑問が出てくると思います。その答えは、手遅れではないが、不利になるということです。実際に小5や小6から受験勉強を始めた方でも、難関校に合格している生徒はたくさんいます。ただし、習得に要する期間を短縮するために、小4から始めた生徒よりも確実に多くの負担を強いることになります。

 さらに言えば、準備期間が短ければ短いほど、上位で合格することが難しくなります。県内の中高一貫校は、いずれも旧帝大や難関大医学部の合格者数を競い、そして、その合格者数を増やすことを目標に掲げています。「東大現役合格10名」と案内書に書いている学校もあるくらいです。これらの学校では、授業のレベルが高いことを謳い文句にしており、保護者もそれを期待しています。一方で、これはすべての生徒がついていける授業でないことを忘れてはいけません。

 東京であろうと沖縄であろうと、進学校が上位の生徒を退屈させるような授業をするでしょうか。いや、上位でも苦労するような授業をするでしょう。それは甲子園を目指す強豪校が、野球の初心者を相手にするような練習をしないのと同じです。志望する学校が高い目標を掲げているのであれば、それに見合う実力を身につけて進学しなければ、入学したその日から6年間、唯々苦労の連続となってしまうかもしれません。

 そのためにも、受験への準備は早めに始めることを勧めます。準備期間に余裕のある人ほど、受験前の成績も、そして受験後の成績でも、必ず有利になることだけは間違いありません。