第53回 お母さんたちからの質問(その6)

 「子供にやる気を起こさせるためにはどうしたらよいですか?(前編)」

 

「やる気」とは一体何でしょうか。改めて皆さんに考えて頂きたいと思います。

 

「子供にやる気がない」という相談は屋宜塾でもよくあります。やる気がないというのは、家で勉強しないということです。

ところで、子供が家でする勉強とはどんなものでしょうか。概ね、学校や塾からの宿題ではありませんか。もし、宿題すらしないというのであれば、それは「やる気」の問題ではなく、習慣の問題です。

私の考える「やる気」とは、目標に向かって日々精進できる「意欲」のことです。したがって、「やる気がない」というのは、普段頑張っている人が、ストレスや成績不振によって一時的なスランプに陥り、勉強が手につかなくなるようなことを言います。

しかし、多くの親御さんは子供が家で勉強しなくなる、つまり宿題すらしなくなると、「やる気がない」と叱り、子供の行動そのものに問題があると考えてしまいます。

繰り返しになりますが、これは子供の「やる気」の問題ではありません。なぜなら、「真面目な」子供たちならば、やる気があろうとなかろうと、習慣として宿題くらいはこなします。もし、宿題すらまともにやらないならば、それは家庭学習が習慣になっていない証拠であって、それこそ小さい頃からの躾の問題と言えます。

問題解決の方策の1つに、子供だけでなく、家庭全体の生活習慣を見直すことが挙げられます。例えば、子供を中心に家族で行動スケジュールを決めることです。普段は両親が仕事で遅くまで不在というならば、休みの日だけでも構いません。朝は何時に起き、午前中は宿題や復習をする。それが完了すれば、午後からはお出かけし、何時までには帰宅する。ただ、こういったスケジュールは往々にして計画通りにいきません。その時は必ず、子供の勉強を最優先にして下さい。中途半端なまま、お出かけするようではいけません。子供にとって勉強が最も大事なことであるということを徹底していくのです。時には子供の勉強の進み方次第で、家族の楽しみが奪われるかもしれません。それでいいのです。子供に責任感を持たせるためにも、そういった経験が大事だと思います。

親にとっては耳の痛い話だったと思いますが、子供が家で勉強するには、家族の協力が不可欠です。まずはできることから始めましょう。

このテーマは3話にわたります。次回は、「親を上司」、「子供を部下」に置きかえて、「やる気」を起こさせる方法をお話したいと思います。